2026年9月12日(土)から14日(月)の3日間にわたり,教育システム情報学会第51回全国大会を徳島大学常三島キャンパスにて開催しました.まずは素晴らしい会場を快くご提供くださった徳島大学の皆さまに,心より感謝申し上げます.また,参加者の皆さま,特別講演・シンポジウム等の登壇者の皆さま,展示・後援・協賛をいただいた企業・団体の皆さまに,厚く御礼申し上げます.
大会には403名,懇親会には218名にご参加いただき,今大会が研究成果の発表を通じた学術的な交流の場として,また皆さまのご縁をつなぐ・深める機会として機能したものと考えております.また前回大会に引き続き土曜・日曜を含む日程とするとともに,オンライン発表セッションを実施することで,多様な参加・発表形態のニーズに応えることを目指しました.
今大会では「新時代の教育システム情報学」をテーマに,学会創立50周年・第50回全国大会を超えた「これからの50年」を見据えた企画を設定いたしました.
大会初日には特別講演「これからの高等教育のあり方―学修者本位の教育の実現に向けて―」と題して,文部科学省高等教育局大学振興課長 石橋晶様を講師にお迎えしました.ここでは,ご講演および参加者との議論を通して,これからの大学の認証評価において教育の質保証の重要性が増すとともに,そのなかで教育システム情報学がどのように貢献し得るかについて,示唆をいただきました.本学会でもこれまで「学習者中心」で「エビデンスに基づく」学びについての議論が重ねられてきましたが,この方向性が今後ますます重要になるものと思います.
大会2日目にはメインシンポジウム「学びを支える技術・人・場の新しい関係」を開催しました.本学会が協賛している「教育・学習支援システム若手の会」(旧称:知的CAI若手の会,教育システム若手の会)の初回に参加され,現在はベテランとなられた先生方と,現在,同会を中心的に運営されている若手の先生方によるディスカッションが行われました.ここでは,モデリング,システム開発,社会実装の3つの視点から話題提供が行われた上で,それぞれの研究あるいは研究者としての強み(secret weapon)やその共有・波及,さらにはそれらの強みによってこれから50年の教育システム情報学に何を積み上げられるかを,パネリスト・参加者の間で議論しました.この議論を通じて,自分にしかない「強み」をどのように見いだし,それを教育システム情報学に還元していくか,という視座を参加者の皆さまと共有できたものと思います.
大会3日目には,徳島大学高等教育研究センターとの共催による現地企画シンポジウム「教育現場で活用が進むAIについて考える」を開催しました.ここでは,基調講演「知能の未来:人工知能が問いかける教育と学問の意義」(名古屋大学 久木田水生先生)を通して,生成AIが発展・普及する今,AIに代替されて人間から失われるものや,成長の価値を見直すことの必要性について,示唆を得ました.また,この講演を受けて行われたパネルディスカッションでは,初等中等教育や高等教育における生成AIの活用事例の話題提供と,学習者として成長するために経験すべきことは何かというテーマでの議論が行われました.この議論を通じて,現在の教育において必要な経験は何か,その経験をいかにして学習者に与えるか,そしてその結果をどのように評価するか,という重要なトピックに関する知見を参加者の皆さまと共有できたものと思います.
また,本大会では口頭(一般・企画)セッションとインタラクティブセッション,学生研究特別セッションが開催されました.発表件数は口頭発表 166件(企画セッション 57件,一般セッション 109件(うちオンライン発表 5件)),インタラクティブ発表 45件(一般 33件,学生研究特別セッション 12件)の計211件となり,2019年に開催した第44回大会以来,7年ぶりに200件を超えました.コロナ禍が発生した2020年に発表件数が大きく減少して以来,ようやく以前の水準に回復したことは,皆さまの研究や交流の発展の場である本大会の運営に携わる者として大変喜ばしく感じています.
発表申し込み時に選択していただく分野のうち,特に多く選択されたものは「先進的学習支援」,「授業設計・インストラクショナルデザイン」,「学習者特性・行動分析」,「ユーザインタフェース」,「高等教育」でした.昨年と比べると新たに「授業設計・インストラクショナルデザイン」,「ユーザインタフェース」,「高等教育」が上位に入っており,これらの分野についての注目が高まっていることがうかがえます.中でも「先進的学習支援」は3年続けて最多で,生成AIに関する研究発表が多く含まれています.また,発表申し込み時に記入いただいたキーワードでも,「生成AI」,「AI(人工知能)」,「授業実践」,「適応的支援」などが多く見られました.これらの動向は,今大会のオープニングで発表された,本学会が設定する2027年度の活性化領域「生成AI時代,何を学ぶ?どう研究する? ―教育システム情報学からの問い―」とも合致するところです.
個人的には,懇親会で披露された阿波踊りの優雅さ・勇壮さに圧倒されました.阿波踊りといえば「踊るあほうに見るあほう,同じあほなら踊らにゃ損々」という歌の文句が有名ですが,阿波おどり未来へつなぐ実行委員会によれば,『「あほう」とは、なにかに夢中になれる情熱の証』とのことです.今大会にご参加いただいた皆さまが夢中になり,情熱をもって取り組まれる今後の研究・教育・学習活動において,今大会で得られた知見や知己が糧となることを祈念しています.
次回の第52回大会を,2027年8月28日(土)から8月30日(月)に沖縄国際大学にて開催する予定です.全国大会としては初の沖縄での開催となります.多くの方のご参加をお待ちしています.
末筆になりますが,今回の大会運営を担っていただいた金西計英先生はじめ現地実行委員会の皆さま,学生アルバイトの皆さま,大会委員の皆さまの献身的な尽力に心からの感謝の意を表して,この報告を終えたいと思います.
全国大会委員会 委員長 國宗 永佳(千葉工業大学)